もう今年も残りわずか。放課後練といっても夜練みたいに周りが真っ暗になる。
期末テストも終わったばかりだけど、練習は一日でもさぼると感覚を取り戻すのに倍
かかるっていうし、勉強してても結局、野球がやりたくてうずうずする。
テスト期間中は部活動全面禁止だなんて、そんなのおれらに我慢できるわけないだろ?
というわけで、自主練だったりやりたい奴が何だかんだつるんで、練習してきた。けど、
それももう、今日で解禁。皆もモモカンもソワソワしていつもより遅くまでやってしまった。
けれど、そりゃー学生なのだから最低限は勉強もしなきゃならない。野球バカとはいっても、
偏ると奴らみたいな羽目になる。
「たたた、田島くん!問2って何!?お、おわらないよ〜…!」
「問2?えっと〜、オレの勘からすると…Aじゃね?」
「A!?オ、オレがやってるのって英作文の和訳なんだけど…!」
「マジ?だってオレ生物だもん!西広先生〜!めしべとおしべって…」
「え、あ、えっと…教えるのはいいけどオレ、どっちに教えればいいのかな…」
「「オレ!!」」

…頭痛がしてきた。窓際の花井も、眉間に皺を寄せている。
そりゃあ、チームのキャプテンからしたらチームのエースと4番が揃ってアレっていうのは、
喜ばしいことじゃないよな。
「あー…ちょっと待て。オレたちも手伝うわ。」
「あぁ!?俺もかよ…」
着替えてたところ、いきなり花井に話を振られた。…っと。確か花井は英語が出来るんだよな…。
…って。
すっかりやる気になってしまうとこだった。
「見て解ると思うけど、オレ、着替え終わったら活動日誌なんだ…」
…言葉を次ごうと思ったが、何か熱っぽいというか切羽詰まった視線を感じる。…三橋だ。
三橋が、ぷるぷるしながら必死にこっちを見てる。
「あああ、あべく…、オレ!オレも日誌手伝うからっ!だから…」
……あーあーあー…ハイハイ。花井、オレ、西広しかいなかったら俺も人海戦術に
駆り出されるわけか。ま、しょうがない。オレの、ピッチャーだから。とことんまで、付き合ってやるか。



練習ですっかり外が暗くなったというのに、それから2時間は粘っただろうか。
田島の生物と政経、古典と三橋の英語と数学、現国が片付いた。
そもそも及第点をもらうための課題をここまで溜めるってどう考えてもありえねぇ。
これからはちゃんといいつけてやらないと。と思う。西広はやり遂げた顔をして帰っていった。
田島と三橋より、西広の表情は輝いていた。むしろ、後光が差していたといってもいい。
ほかほかした顔でにこにこしている、見るからに上機嫌な三橋は、中身がぐしゃぐしゃの鞄に
一生懸命プリントを詰めている。…あいつの鞄の中身はブラックホールなんじゃないだろうか。
よく、色んなところから色々な食べ物を出しては皆と食べている姿を見かける。
アイツ、あんな細い身体で、どこにそんな入るんだろうか。胃もブラックホールなんだろう。
憔悴した表情の花井と対照的な田島は、花井の尻を嬉しそうに揉みつつニヤニヤして帰っていった。
その後何者かが殴られる音がしたが、それは田島の自業自得だ。ほんとあいつらは公害だと思う。
…三橋は、それからずっとオレの向かいでオレが日誌を書くのを見ている。
手伝います!といっていたけど、普通は2人でひとつのノートに記入って、どう考えてもおかしい。
一緒に帰る約束をして、待たせてみる。あいつは、腹が減るのを我慢していられるだろうか?

「…終わったぜ。さ、これモモカンかシガポに渡してカギ閉めて、さっさと帰ろうぜ。も、腹減ってしょうがない。」
「あ。あああ!あ、あべくん…!待って!」
席を立ったところを三橋に肘を掴まれる。どっか寄りたいってことか?我慢できないって?
「コンビニでも寄るか?我慢できないなら付き合う…「ち、ちがくて!違います!!」
と、言葉を遮られた。無駄に必死でおかしい。
「何、」
「オ、オレと、あっち向いてホイしてください・・・!!」
…。何か今恐ろしいことをきいた気がするが、これは付き合ってやったほうがいいのだろうか。それとも、
流してしまっていいのだろうか。顔を真っ赤にして、何やら必死な三橋には悪いが、しょうがない。
「あー…解った。オレがおごるよ。」と流してみる。
「違います!オレにおごらせてください!!だからっ、あっち向いて…」…本当に噛みあってない。
「?何、どうした?熱でも出たか?勉強やりすぎて知恵熱でも出たか?」
「…う…エ…、違、ほんと、う…うー…えっともう…!…あっちむいてホイッ!」
「は!?」
…ホイっ!と言われて三橋の言うとおり、取り敢えず三橋の言葉と同時に顔を背けた。
ホ、よくわかんねーけど三橋の指した方向とは真逆に向けたみた…
 ……チュッ。
………ん?
「わわわわわわーーー!ごごごご、ごめんなさい!!!もうしませんもうしません!!すみませ…!」
「え…ちょ、」
三橋は、一体何がめでたいのかよくわからないけど、
「い、一日早いけど、明日になったらあべくん、きっと皆に祝って貰って、オレのことなんて
忘れちゃうと思ったから・・おめでとうございま、す…!」って、顔を真っ赤にして小さく呟いたあと、
そのまま鞄を掴んでドアの方に走ってった。顔は地面に向けられてたけど耳と首筋まで真っ赤だった。
 何なんだ…?
「あー…いや…え…?何?あ、帰るのか!?」
ごめんなさい!またあした、おれのボールとってください、ありがとう、ございました!とかいいながら、
いっぱいいっぱいな感じに走ってドアを蹴破る勢いで部室を出て行ってしまった。

「あ、帰っちゃうわけ…」
一人残された、薄ら寒い部室。だけど、顔と耳は火が出そうに熱い。
「何だよ…アイツ。」赤くなった顔が自分でもありえねーと思って、頭を抱え込んで冷たい机に押し付ける。
三橋、ほんと何なんだ。オレに何をしたいっつうんだ…あー…。
……考えてもハラへるし、取り敢えず帰るか…。


オレが、三橋の置いてったプレゼントを家の軒先で気付くのはもう少し先の話。






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某指輪を見ながら書きまし・・た…。
痛々しい…甘酸っぱいというと聞こえがいいですがゲ○吐きそうですみません…
生涯初のSSもどきですよ!オエッ。

あー…榛名榛名…(現実逃避)

阿部隆也く…ん、お誕生日おめでとうございます!


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