2月の朝は本当に寒い。吐く息が白くもうもうと空にあがっていき、白かった手は少し外気に触れただけで
かじかみ、すぐにあかくなる。
しかし冬の朝の静謐な空気を何よりも愛している利央は、寒さなどにくじけずに、今朝もぐずぐず寝ている島崎の
かぶっていたシーツをはぎ、たまっていた洗濯物と共に洗濯機へぶちこんだ。
小さい頃はぐるぐる回る洗濯機に入って、一緒に回ってみたい!なんて無邪気なことを考えたこともあったけれど、
今はそんな空恐ろしいことはさすがに考えなくなった。第一、言ったら言ったでどうせカワイイとか言われるか
頭がユルいって言われるだけに決まってる。
・・・それにしても今朝はまた寒いなぁ・・・あ、やばい、薄着で出ちゃったかも。
部屋の暖かい空気と外気の温度差にやばい、と思った時には遅く、すでに利央の口からは大きなくしゃみが
こぼれた。
「っ、ブェックショイ!」
「・・・何だよその色気のないクシャミ・・・」
「・・・ってわァ!びっくりした!!オハヨーゴザイマス、何すかいきなり隣から!!!」
「アァ?・・・朝から騒がしいな・・・ったく。見てわかんねーのかよ洗濯物干してんに決まって、」
「や、それは見ればわかるけど。」
「じゃーいいだろ。」
「・・・じゃなくてさ・・休みの日に洗濯物干すのは和さんって・・・」
「あー。今日、オレ誕生日だから。」
「あぁ、そういうわけ・・・・・ってエェ?!!何その理屈!超わけわかんないし!!」
「・・・あーもうまじオマエうるさい・・・一体オマエんとこの亭主はどういう躾・・」
「ハイハイ、すいませんねウチの利央が。」
「わっ慎吾サン!び、びっくりさせないでくださいよ・・・!いつ起きたの!」
「いやさすがに大声で騒がれたら起きるから。」
「だってね!準さんが今日、」
「誕生日だってんだろ?」
「ウワッ何で知ってんの?!」
「・・・嫉妬すんなよ可愛いから。あんだけ大声で喋ってたから筒抜けなんですけどね?」
「・・・ふぅーん。別にいいけど・・・あ!ちが、おめでとうございます!」
「おー、皆揃って賑やかだなぁ」
「!和さん!」
「アッ和さんおはよーございます!わぁ何日ぶりだろ!」
「おはよう、利央。・・・合宿前日には会ったから・・・3日ぶりか?」
おれと和さんがにこにこ話してるというのに、アッ!と短く叫んで、なんか不穏な空気をまとってる人がいる。
慎吾さんはもう会話に加わる気がないのか、オッサンみたいに腰とか掻いてくつろいでる。ちょっと、この空気どうにかしてよ!
「3日も!お疲れ様ですー・・準さんよくガマン・・」
「和サン・・・!いきなりじゃないすか!約束やぶって!!!」
せっかくの誕生日なのに・・とつぶやく準さんと、いきなり会話から置いてけぼりにされたおれ。
メオトの会話に割り込むことほど野暮なことはないって、高校の時に嫌というほど学んだから口出しはしない。
「え。あ・・・スマンスマン・・・つい、な。」
「へ?約束?」
「もーうるせー!きょう・和サンは・おれ以外の奴と・喋っちゃ・いけないの!!!」
苦笑する和さんを、隠すみたいに自分の背後においやって、(別に取って食おうってわけじゃないのに!)
単語単語くぎって宣言した準サンは、そのまま「今日はインターフォンとか鳴らしても無視すっから。」
という捨てゼリフとともにサッシをバシッと閉めてあわただしく隣のベランダから部屋に戻っていった。言い逃げの一種なのだろうか。
「・・・ねぇ、誕生日だからおれ以外の人と喋るな、ってどういう理屈だと思う?」
「・・・あー・・・まぁ、わからなくもねぇなー」
「えぇっ、そういうもんなの?」
「お前にはわかんなくていーの。」
おれの頭をかきまぜる慎吾さんの手は、いつもと同じでとても優しい。幸せな一日のはじまり。
きっと、準さんの幸せは和さんといることで、和さんが世界の中心!ってくらいに、本当に本当に
大事なんだと思う。和さんが全部で、和さんが第一なんだと思う。
でも、その幸せのなかに、ほんのちょびっとでもおれと慎吾さんと出会ったことなんかが入ってたら、
もっといいのになって思う。
お誕生日おめでとう、準サン。
『それだけで幸せ』
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オチが強引だ★
(私の脳内で、)準さんは和さんの洗濯物を干すことに幸せを見出す人なので(・・・)、平日は準さんが洗濯物干して、
たまの休日に(準さんの体を慮って)和さんが替わるって設定で!(次の日が休みだとね!夜とかね!←下品)
皆それぞれキャラがおかしくてすみませんでした…ていうか掴めないよ皆!!